リアルタイムドキュメンタリー

デジマ担当者がみたジャパニーズ・ド田舎の町興し策の可能性「なぜ、今ブロガーなのか」その3#大台町PR

その2からの続きになります。

体験型モニターツアーの実施動向

PR写真の撮影もお手のもの

PR写真の撮影もお手のもの

今回参加したブロガーのなかには、過去に海外政府観光局や自治体のPRを手伝った経験がある方が複数名いらっしゃいました。

そこで、他の自治体の実施動向についても調べてみました。 

まずは「体験型モニターツアー」と検索してみて下さい。自治体観光協会主催でたくさんのモニターツアーが見つかりませんでしたか?

開催趣旨は大台町魅力発信ツアーと同じですが、他の自治体は参加者への縛りを設けず割引価格で実施する体験ツアーが多くみられます

2015年の観光庁の観光地ビジネス創出の総合支援事業「選定地域の取組概要(選定45地域及び追加選定3地域)取組」を見ていると地方の新たな観光資源の掘り起し策としてモニターツアーに力をいれていたようなので、この名残もあると思われます。

インフルエンサーマーケティングとしての大台町魅力発信ツアー

大台町魅力発信ツアーはインフルエンサーマーケティングに近い

大台町魅力発信ツアーはインフルエンサーマーケティングに近い

次に「旅案件 インフルエンサー」と検索してみて下さい。

インフルエンサーの募集ページや企業とのタイアップ事例がたくさん出てくると思います。例えば以下です。 

今回大台町観光協会が実施した、体験型モニタツアーの参加資格は、

・18歳以上で一定の読者をもち、継続的にブログを書いている
・月間3万PV以上
・本企画の趣旨を理解し、執筆内容やスケジュールに対応すること

であり、いわゆるインフルエンサーマーケティング(多くのフォロワーや読者を抱え、影響力のあるインフルエンサーに企業や政府観光局、自治体がPRをお願いするマーケティング手法)の部類に入ります。

リーチしたいターゲットや訴求したいイメージ、情報の内容により、

・媒体毎に特徴がある為、どの媒体を利用するか(youtube/Instagram/Twitter/Facebook/noteやブログなどのテキストメディア)

・どのカテゴリのインフルエンサーを起用するか(旅、美容、グルメ等)

・どの程度の影響度を持つインフルエンサーを起用するか(チャンネル登録数、フォロワー数、読者数、PV数など)

の観点と予算を勘案してPRを依頼します。

企業が直接DMを送って依頼するケースもありますが、通常はインフルエンサープラットフォームや仲介業者を通して依頼するケースが一般的です。当然その分、手数料が取られるかたちになります。

インスタグラムやTwitterは20代~30代がメインでありかつ、それなりに影響力のあるインフルエンサーに依頼しようとするとPR費用が高額になりがちです。

人気絶頂プラットフォームのYoutubeもしかりです。ちなみに昨年に著名Youtuberの「シバター」が企業案件の相場を暴露して話題になりました。

しかし、今回の企画を実施した大台町観光協会の担当者に話を伺うと、こうした仲介サービスを一切使う事なく自分たちが運営するWebやSNSだけで告知して著名ブロガーを集めています

「なぜ、今ブロガーなのか」

大杉谷の仙人のあじと

今回ツアーではオリジナルな体験として大杉谷の仙人を訪ねた

道中も飽きない自然と景観があった

誰もが情報発信する時代になり、みんなユニークでオリジナルな体験を強く求めています。それはYoutuberもインスタグラマーもブロガーも同じです。

日本最大のインフルエンサープラットフォームであるSPIRITを運営する福田氏の著書から引用すると

「企業(や政府、自治体)のPRをやっている」ということは、インフルエンサーにとっては、人気のある証であり、ソーシャルメディア上ではステータスなのです。

平日かつこのレベルの謝礼と費用負担で、なかには月間100万PVを超える大物ブロガー達を集める事が出来ているのが何よりの証拠です。

ちなみに、まともなWebライターに依頼すると1文字あたり最低4、5円はかかります。今回の参加ブロガーに出された必須条件が5記事×1000文字以上の執筆なので、Webライターに依頼するよりも、まずこの時点でコスパが優れています。

さらに大台町はおそらく月間数万~数十万台のPV数を誇り、かつエコツーリズムのメインターゲットとなる主に中京圏、関西圏の30代~50代、50代以降のデジタルシニアにリーチできるメディアはお持ちでないでしょう。今回参加されているブロガーの属性であればそれが可能です。

つまり、大台町のように小さな自治体が実施可能な予算内でメインターゲットが求める観光客目線での適切な情報発信を得る目的において、ブロガーにフォーカスした戦略はベストマッチしていると考えています。

 

その4(ラスト)に続きます。