リアルタイムドキュメンタリー

デジマ担当者がみたジャパニーズ・ド田舎の町興し策の可能性「なぜ、今ブロガーなのか」その4#大台町PR

 その3からの続きになります。

大台町魅力発信ツアーの価値整理

三瀬谷駅

これまでの議論を踏まえ、大台町魅力発信ツアーの価値を整理します。

定性的価値

前述のとおり、各ブログを通してメインターゲットへ情報提供できる事に加えて、さらに潜在的な旅行者の外部視点での意見が手に入るメリットについて補足します。

今回のツアー設計には大台町長の大森正信さん含めた街の要人との懇親会も含まれており、外部視点での要望を町長や要人に直接伝える事ができました

ブロガーの方々は普段から書く事に慣れているので、改善点や提案、感想がスラスラ出てきます。これがインスタグラマーだったらそんなに出てこないと思うんですよね。それもメリットの一つです。

かのホンダ創業者の本田宗一郎はこう言いました。

「新しい発想を得ようと思うなら、まず誰かに話を聞け」

参加ブロガーから出たアイデアの中でも個人的にはMr.Dashさんの提案に目から鱗が落ちました。

彼は地元関西のお客さんを中部圏の山々へお連れして個人ガイドする事も多いそうです。三重県には何度も来ているとのこと。

地元に住んでいなくても、外から個人ガイドとして直接お客さんを引っ張ってこれる可能性がある事は僕にとって新たな気づきでした。

Mr.Dashさんは大杉谷の裏に位置する奈良の上北山村が管理する大台ケ原の認定ガイドにも登録されています。

この認定ガイド制度は、「利用者に対してより質の高い自然体験の提供と自然環境保全に関する普及啓発を可能にすること、ガイド付きツアーの増加に伴う利用者や滞在時間、宿泊利用者の増加や地元ガイドの増加による地域経済への波及効果など地元への経済的効果の発現に寄与すること」を目的にしています。

大台町でも大杉谷のガイドについて同様の制度を導入するべきだ」というのが彼の提案です。

地元への経済効果を狙うためには「認定ガイドは必ず地元の宿に泊まらせるルールにする」といったものから

当時の大杉谷森林鉄道

当時の大杉谷森林鉄道

現在、大杉谷森林鉄道跡地は立ち入りが禁止されている

現在、大杉谷森林鉄道跡地は立ち入りが禁止されている

「現在は立ち入りが禁止されている風光明媚な当時の森林鉄道跡地を認定ガイドだけに開放する」など具体的なアイデアを多数お持ちでした。

この視点って絶対、外からの人間でないと入らない意見ですよ。

基本的には僕もこの提案に賛成です。今すぐにでも具体的な検討に着手すべきだと考えています。

定量的価値

今回の参加ブロガー10人合わせて月間150万PVほどあります。

各ブログが抱える読者が記事を読んだ回数や、大台町関連のWebやSNSへの流入増加数、その中でもターゲットセグメントへのリーチ数が定量的な価値となりますが、情報が出揃っていない現段階では何とも言えません。

上記をKPIとするならば、KGIは観光客数、町内消費額の増加を含めた経済効果。あるいは関係人口数の増加かもしれません。今回の情報発信をきっかけにして大台町を訪れた観光客を補足できるようにする為の仕掛けも必要です。

これらは継続的な取り組みを続けていく事で、企画毎の成果や改善内容を検証する為の数値情報として活用されるはずです。仮に適切なKPIを設定しデータに基づいた評価や改善策の立案・推進ができる人材がいなければ有効な次回策が打ち出せず迷走してしまう可能性がある事を指摘しておきます。

まとめ

「ネット上の売れ筋情報」や「評価サイトやブログ」を参考にする10代~50代は年々増加し、シニアにおける行動のアクティブ化やネットで能動的に情報を取得するデジタル情報志向も高まっている。
上記の顧客セグメントに対して観光客目線の情報を発信してもらう為のブロガー活用はベストマッチ。金は無くとも必ず参加者は集まる。予算が乏しい自治体こそ見習うべき取組である。
外部からの視点を取り込むためのブロガー活用も有効。街の要人やキーマンと交流させることでさらに活きる。
街の魅力を見つけようと積極的な取材姿勢を見せる外部ブロガーとの交流は地元の人にとっても良い刺激となりマインドも活性化される

 

このエントリが日本全国の不振にあえぐ自治体関係者の一助になれば幸いです。

※本記事は全て一人の参加者として感じた個人の見解になります。

本イベントの詳細について興味を持たれた方は主催者である大台町観光協会までお問い合わせください。