以前に「ビジネスはプレイスの奪い合い」という記事を書きました。
マーケティングの神様フィリップ・コトラーが提唱した、マーケティングを考える上で重要な4つのP( Product、Place、Price、Promotion)のうち、見落としがちなPlace(流通、チャネル、場所)の重要性について考察しました。
今日は残りのPについて深堀りしたいと思います。
「Product」は「意味のあるモノ」「役に立つモノ」に二極化する
山口周先生がニュータイプのなかで仰っている「意味があるもの」と「役に立つもの」。
キンコン西野さんのvoicyでの解説例を拝借させてもらうと、
役に立つものは全世界共通で一つだけあればよくなってしまう現代社会。
コンビニに行った時に、ハサミや爪切りなど1種類しか置いてないものは「役に立つもの」Google検索もそう。2番目に使えるものなんか誰も使いたくはない。
一方で「意味があるもの」は生き残れるチャンスがある。
例えばタバコ、「憧れの先輩が吸っていたから」「ガツンとくるものが良い」とか、各自が意味を持って選択している。そういった商品はコンビニで見ても、たくさんの種類が並んでいる。
「役に立つモノ」を目指すのであれば、世界で一番にならないといけない。
という趣旨のものです。
同じ文脈、別の表現で時代の先端を言っていると言われる他の識者も言っています。
参考:「好きか安いかしか残らない」、「巨大な内輪ウケ」
私の考えとしてもProductは「意味のあるモノ」、「役に立つモノ」に二極化していくと見ています。
「役に立つProduct」と「Price」の関係性
ここにPriceをプロットしてみます。
まず左側の「役に立つ商品」は、前述の通り二番目に便利なものなんて誰も使いたくないので、いずれ世界共通で一番のものだけに収束していきます。
世界一になって規模の経済を働かせる事でより安く便利なものだけが生き残る「修羅の世界」です。北斗の拳のカイオウを目指さないと「ヒデブー」で殺されます。
これを図示してみます。
「意味のあるProduct」と「Price」の関係性
次に、右側の「意味がある商品」です。
好きすぎて価格とか一切気にしなくなる「ローカルファンコミュニティの世界」と世界的に浅く広くほぼ無料のような価格でファンを集める「グローバルニッチファンの世界」に二極化すると考えています。
逆に言うと中途半端なものは生き残れません。
また、この場合の「価格」は、価格よりもLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)と捉えた方が分かりやすいかもしれません。
「ローカルファンコミュニティの世界」の特徴としては、
- 最たる例がAKB48
- リアル中心(より距離が近い事が重要)
- 価格高め
- 例え同じような内容であってもコミュニティの数だけ存在する事が可能(同質カテゴリOK)。AKB、MNB、SKE、JKTなどのAKBグループが同じモデルで世界各地で人気を誇っているのがその証拠。
僕の地元だけで販売されている「大内山コーヒー牛乳」という乳製品がありますが、近所の牧場で育った牛から取れた親近感と小さい頃から飲み続けている文脈があるので今でもヘビーユーザーです。これもローカルファンコミュニティの商品の一つかと思います。
「グローバルニッチファンの世界」の特徴は、
- 最たる例がYoutuber
- ネット中心(距離が遠くても成立)。ただし、グローバルに届ける為には世界的なプラットフォームに乗せて情報発信する必要がある。
- 価格低め(ほぼ無料)
- 釣り、ゲーム、転職、お金などの同質カテゴリ内で存在出来るのはせいぜいTOP3まで(同質カテゴリNG)。
Youtubeの場合は広告モデルで成り立っているので、ユーザーからすると無料だからこそ獲得できているファン層がほとんどです。実際には時間というコストがかかっているのですが。
これを図示すると以下になります。
「役に立つ商品」はマス広告、「意味がある商品」はターゲティングPR
ごちゃごちゃしてきましたが、最後にPromotionをプロットします。
Promotionはシンプルに考える事ができて、
「役に立つ商品」はTVを代表とするマス広告を中心とした大規模プロモーションで隅々まで広く認知を届ける戦略が基本になると考えられます。従ってコストも高額。それだけの体力が必要になります。
一方で「意味のある商品」はSNS等、デジタル活用したターゲティングPRが中心。刺さりそうなターゲットにだけピンポイントでPRするのが基本戦略になるはずです。従ってPRコストも抑えめ。個人でも十分対応可能な範囲です。
以上、今回はProduct,Price,Promotionの観点から今後生き残っていける商品について考察してみました。
以前に書いたPlace戦略とも合わせて、自分たちが取り組んでいるビジネスがどのポジションを狙いにいっているかのスタンスを明確にしたうえで活動を継続していきたいですね。