今日も一つ、僕は逆転への布石を打っていく。
アトピー対処へのたった一つの解である
網羅的に知識をつけて片っ端から自分の体で人体実験を繰り返せ!
自分の人体実験の共有を行う俺のアトピー!のコーナーもこれで最後となりました。前回はアトピー治療のダブルスタンダードと言われる日本皮膚科学会や厚労省のガイドラインに則した標準療法のなかでも、原因悪化因子への対策とスキンケアについて書きました。
前回記事の詳細はこちらから
全部読んでもらうことでより深く理解して頂ける構成になっていますが、今回は長文につき、目次の用意もあります。
前回エントリのおさらいになりますが、これは厚労省が出しているアトピー治療のガイドラインです。
正しい診断、皮膚症状(重症度)の評価、コンセンサスに基づいた治療(原因・悪化因子の対策、スキンケア、薬物療法この3者は同等の重きを有する)が基本であるとしています。本日は一番右側の薬物療法について説明したいと思います。
と、その前に前回うっかり書き忘れたので具体的な治療の話に入る前に、治療の目標設定をどうするかについてから始めます。これがないと始まりません。
治療の目標を理解する事から始める
まずは治療目標に対する認識が大切です。ガイドラインから引用させてもらうと
治療の最終目標(ゴール)は、症状がないか、あっても軽微で日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することである。また、このレベルに到達しない場合でも、症状が軽微ないし軽度で、日常生活に支障をきたすような急な悪化がおこらない状態を維持することを目標とする。
ようは完治は難しいという事を受け入れるという事なんですね。身長やルックスが変えられないのと同じように、そこに折り合いをつけて、いかに楽しい人生を送れるか。後天的な努力にフォーカス出来るか、先天的な部分はガン無視して、それだけを一緒に考えてきましょう。
薬物療法について知っておくべき事
ここは医療行為の領域なのであまり具体的な事にまでは触れるつもりはありません。このブログで何度も引用している 日本皮膚科学会の魂のガイドラインに懇切丁寧な解説が載せられていますので、そちらにお譲りします。
それよりかは、僕自身の経験から知っておいた方が良いと思った事をお伝えしていきます。
有効な抗炎症外用薬は2つだけ
現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で、有効性と安全性が多くの臨床研究で検討されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(topical calcineurin inhibitor;カルシニューリン阻害外用薬=プロトピック軟膏)しかないという点です。
したがって、この2つを適切に選択し組み合わせて、確実に鎮静させる事が治療の基本です。
ステロイドというと一般の方は、スポーツ選手がよくやって捕まるドーピングの一種だと認識を持ってる人のほうが多いかもしれません。個人的にはステロイド利用で名声が失墜したマーク・マグワイアの特盛な胸筋&上腕筋と特大ホームランは今でも胸の中に眠っています。
当時のサミー・ソーサとマグワイアとのホームラン争いには誰もが熱狂しました。あの人のようになりたいと強く願い憧れる人も多かったでしょう。
僕が通っていた学校では
「あー今日はチビリそうなくらい、さみーなー、さみーなー、サミー・ソーサ」
みたいなギャグが一斉に流行りだした時代でした。みんな必死に派生ギャグを探し求めた結果、
「くっそ、さむいな、サムソン・リー」
が発明されました。
得体の知らないロン毛の野球選手の衝撃。今でもこんなやつ見たことありません。ここまでは、野球繋がりなのでギリギリセーフでしたが、
「寒すぎて、寒すぎて、サムシングエルス」
もうなんでもありです。それアウトだろ!と牽制すると、
「マグワイアもラストチャンスにかけてるし」
みたいな訳のわからん言い訳まで出だした始末です。
とにかく、そんなステロイドですが、利用に対して過渡に不安視する人や副作用を嫌ったような発言をする人をこれまで何度も見かけてきましたが、「ステロイドを制するものはゲームを制す」本気でそう思っています。
ステロイド外用薬の副作用
ここは重要なところなので、ガイドラインをそのまま引用させて頂きます。
全身性副作用
強いステロイド外用薬の外用で一部の症例で副腎機能抑制が生じたとする報告があるが99)100),弱いステロイド外用薬の使用例では副腎機能抑制,成長障害などは認められていない101)102).適切に使用すれば,全身的な副作用は少なく,安全性は高い.
局所的副作用
皮膚萎縮,毛細血管拡張,ステロイドざ瘡,ステロイド潮紅,多毛,細菌・真菌・ウイルス性皮膚感染症の悪化などが時に生じうるが,中止あるいは適切な処置により軽快する
ステロイド内服薬の副作用を混同して考えてしまったり、別の原因で症状が悪化する事でステロイドの利用を懐疑的にみる方がいるんですが、安全性は高く、何かあったらやめればいいだけです。長期間尾を引くとか最悪後遺症が残るとかそんな事はありえません。なので人体実験が非常にやりやすいのです。
顔や首は皮膚が薄いので吸収しやすい、みたいに体の部位毎に吸収率が異なるので、自分の症状の度合いと部位毎にステロイドの強度を選択、適量を外用して経過を観察する、以上です。スポーツでも勉強でも仕事でも基本に忠実にが最も効果的ですね。
ステロイド外用薬のランク
ステロイド外用薬には強度に応じたランクが決まっています。自分がどの強度のステロイドを利用して、強度毎にどのような反応がかえってくるかを自分の体で試し、知っておく事が重要です。もしかすると、人体実験以外の答えなんて本当は何処にもないのかもしれません。
ランク毎の品名の一覧表は以下から確認できます
同じランクでも有効成分が違ったり、沢山の薬があることが分かってもらえたと思います。通っているお医者さんによっても処方される薬が異なるので、強度と品名毎に結果を記録することをおすすめします。
ちなみに僕の場合は、Mediumランクのキンダーベートだと、ほとんど効かないので、もう1つ2つ上のランクのStrong、Very Strongの中でもメサデルムが自分の肌に合っているなと絞り込めてきました。今はこれを愛用しています。
タクロリムス軟膏(プロトピック)を知っているか
ステロイドは60年以上の実績がありますが、タクロリムスはまだ出てきて20年です。知らない方も多いんじゃないでしょうか。まず名前が良くないですね。発音しにくいし、覚えにくすぎ。
タクロリムスを含んだ軟膏として、プロトピックという名前で製品化されてますので、ここではプロトピックと呼びます。その方がまだ覚えやすいと思うので。
こんなに偉そうに語っていますが、僕も4年前に初めて知りました。それからは愛用しています。
プロトピックは細胞内のカルシニューリンを阻害する薬剤であり,副腎皮質ステロイドとはまったく異なった作用機序で炎症を抑制します。その有用性も立証されています。
作用機序が違うのでステロイドが合わなかった人やどうしても苦手意識を持ってしまった方もプロトピックでは効果が期待出来るかもしれません。
give me a chance!最後に賭けてみたいんだ
once more chance!僕は確かめてみたいんだ
まさにラストチャンスです。
僕のように、顔や首には低強度のステロイドしか推奨されていない為に、効き目が薄かったが、プロトピックであれば使える!ようなシーンにおいて効果を発揮してくれます。
プロトピックの副作用
局所の有害事象として,灼熱感,瘙痒,紅斑等が確認されています。慣れれば無くなってくんですが、簡単に言うとピリピリする感じがあります。
もうひとつの副作用は、細菌による皮膚二次感染,ウイルス感染症(単純ヘルペス,軟属腫,疣贅など)等です。薬剤の作用上しゃーないんですが、皮膚の免疫力を落としてしまうので、このような副作用が出てしまいます。
僕の場合は、疲れてくるとすぐに口唇ヘルペスが出てくるので、その辺は配慮しながら使用しています。あちらを立てればこちらが立たず。社会と同じです。ただのトレードオフの関係でデメリットではないです。
最後は、皮膚がんやリンパ腫の発症リスクに対する指摘ですが、今のところ有力なエビデンスはありません。ただし、発がん性については以下の通り見解が出てますので、ここをどう見るかですが、個人的には現状エビデンスが無いものを怖がっても仕方ないなあという感覚です。
発がん性の検証には大きなサンプルサイズと長期の観察が必要であり,今後タクロリムス軟膏使用量や使用期間と悪性腫瘍の発生との関係について,大規模かつ長期的観察による解析が必要である.
プロアクティブ療法の実践
プロアクティブ(proactive)療法は,再燃を繰り返す皮疹に対して,急性期の治療によって寛解導入した後に,保湿外用薬によるスキンケアに加え,ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を間歇的に(週2回など)塗布し,寛解状態を維持する治療法です。
難しい言葉を使ってしまってますが、「見た目はきれいになった後も定期的に外用薬をぬってく事で、悪化の発生を未然に防ごう」とする対処から予防へ!的なトレンドの考え方です。
僕も絶賛実践中ですが今のところ悪化させずにうまくやれています。これまで紹介してきた人体実験を経てなんとか、ようやくここまで辿り着いたといった感じです。
最後に薬物療法より何より、僕が本当に伝えたかったこと
アトピー対処へのたった一つの解である
網羅的に知識をつけて片っ端から自分の体で人体実験を繰り返せ!
はちょっと難しい医療用語でいうと実はアドヒアランスとして定義されている事とほぼ同義です。
アドヒアランスとは、治療や服薬に対して患者が積極的に関わり、その決定に沿った治療を受けること。
アドヒアランスの実現に向けては、患者が医師から薬の効果・それに伴う副作用の説明を受け、自分自身で自らの病気と治療法をすべて理解した上で、患者主体で治療方針を決定する必要がある。実現には、治療に対する患者の理解・納得、患者と医師の信頼関係の構築が不可欠である。
現代の客こそ神!な顧客至上主義においては、「おれは客だぞ!良いサービスを受ける権利があるんだ!」と声高らかに叫ぶ人がいます。
こんな人は本当に良いサービスを受ける事は出来ないと思っています。ライブイベントでもレストランでも、医療でも、あくまでも人が提供するサービスとサービスを受ける人がセットとなって、気持ちの良い空気感を創っていくこと。それが真のサービスへ昇華させる最後のエッセンスというか、唯一無二の解だと考えています。
医療の場合はそれがアドヒアランスという事なのかもしれません。
ということで、僕はこれからも人体実験を続け、発信していきます。
それでは最後にラストチャンスのオカワリをどうぞ
この声が君に届くように
素晴らしい明日になるように
明日やろうはバカヤロウなんだよ!