リアルタイムドキュメンタリー

アトピーに苦しむ患者から患者へ送るメッセージ

世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方を読んだ感想記事になります。

私の立ち位置

幼少期からのアトピー持ちで「重症度のめやす」で言うと中等症の位置づけだ。幼少期はさらにひどかったと両親から聞いている。

もちろん、もっと酷い症状で苦しんでいる患者の方も世の中には沢山いるだろう。

重症自慢には何の意味もないが、僕もアトピーにはじまり、アレルギー性鼻炎、小児喘息、口唇ヘルペス、2年前にカポジ水痘様発疹症にもかかった。

あっぱれアレルギー大行進だ。

そんな僕は34歳にしてようやくプロアクティブ療法に辿り着き、アトピーを飼い慣らすことに成功した。今は症状もかなり抑え込めている。

恥ずかしい話だが、高校生までは治療方針を親任せにしていた。今思えば、この時代が最も標準療法以外の手法にも傾倒していた時代だった。

大学に入り、色んな病院に行って話を聞き、文献を漁り、自分の体で納得いくまで実験して自分に合う治療を見出していった。15年くらいかかったと思う。

標準療法をやっては成果が得られず主治医の方針を疑った。様々な民間療法にも手を出した。そして、しばらくしてまた標準療法に戻る。そんな事を繰り返して、少しずつ知識を貯め、改善を繰り返した。その結果、ようやく主治医と共に今のプロアクティブ療法に辿り着いた。

そんな僕が、患者側の目線で同じアトピーに悩む同士いやバディに向けて、この本の感想文を届けたい。

まず謝りたい

僕はTwitterでこの本の著者である大塚医師や編集者の今野さんにこんなリプライを飛ばしていた。

最後まで深く読まずに本書の意図を何も理解していなかった。

同業種、民間療法を敵にまわし、もしかするとアトピー協会すら敵に回すかもしれない覚悟を持って書かれた序章~三章。

わざわざ患者に謝罪までして、こんなに患者側の目線に立った医者を僕は見たことがない。きっとそれだけ多くの誤った治療法に傾倒する患者を直に見てきて、少しでも多くの患者さんに対して正しい標準療法を浸透させたいと願ってのことなのだろう。

そんな本気の方々に対して飛ばすリプライとしてはあまりにも失礼過ぎた。

患者側として受け取ったメッセージ

結論から言って、僕が15年の回り道を経てたどり着いた答えが本書にはある。

何も答えが分かっているものに対して、敢えて回り道する必要はない。知の高速道路を最短距離で進むべきだ。

どうか、一番最初に、この本を読んでください」という通りに、正しい知識を網羅するのにベストな本だ。まずはこの本に書いてある内容を理解して、その通り実践してみて欲しい。

こんなツイートをしてる方をお見かけした。

痛いほど気持ちがわかる。

この方のように大塚医師のような医師にはなかなか巡り会うことが出来ずに標準療法を信じ切れないバディもいるだろう。僕もそうだった。

現実問題、的確な処置をしてもらえる医者とは出会えるが、患者側の不信感を時間をかけて丁寧にとき解せる医師にはそう出会えない。

もし出会えたとしても、そんな優秀な医師こそ人気で患者数も多い。長時間待ったあげくに5分の診察時間なんて事は当たり前のようにある。むしろ5分でも長すぎるくらいかもしれない。

僕はそこに医師と患者の不信感が生まれる要因があると思っている。

(と、同時に1時間程度かけてがっつり医師に質疑応答できる医療サービスがあっても良い)

たった、5分で心を通い合わせるのは至難の技だ。ほぼ無理ゲーに近い。

信頼関係が構築できていない中で、自分の頭で考えずに、医師の決定に全てを委ねた場合、結果が出ない苦しい場面でその療法を信じ抜くことが出来ない。

だからこそ、治療や服薬に対して患者が積極的に関わり、その決定に沿った治療を受けること。すなわちアドヒアランスの考え方が重要となる。

患者が医師から薬の効果・それに伴う副作用の説明を受け、自分自身で自らの病気と治療法をすべて理解した上で、患者主体で治療方針を決定する必要がある

我々、患者側も最低限の知識をつけ、この5分を活かしきるだけの正確な情報交換が出来るよう努めなければいけない。 

ボールを受けた僕ら患者は何をすべきか

大塚医師からの想いを込めたボールは受け取った。

今度は僕ら患者が行動を起こすべきだ。

今野さんのnoteにその答えがある。

わたしは、この本で、アトピー患者と主治医の間で対話が生まれるきっかけになってほしいと願っている。「自分にとって最善の治療とは何なのか」を、本に書いてある情報を元に、主治医とともに探り当ててほしい。

医者と患者は人と人であり、本来、「病気を治す」という目的にあわせて並走するパートナーだ。しかし医療は、総じて医者と患者の間に知識や認識のギャップがありすぎる。だから医者は医学的知識を、患者は自分自身の症状の変化を提供しある必要がある。

アトピーに苦しむ患者から患者へ、いやバディへ言いたい。

お医者さんがこんなにも此方側に歩み寄ってくれたんだ。

医師側のせいにするんじゃなくて、自分達で環境変えてこうぜ。自分が今選択している治療法を最後まで信じ抜けるだけのアトピーへの理解を得ようぜ。

15年間といわず、この本を読めばたった2時間でその入り口に立てるのだから。

PS.

季節の変わり目になぜアトピーが悪化するのか?僕の周囲のバディからも質問が多いのだけれども、是非とも教えてくれないかなぁ。