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2020/1/20(月)日経新聞社説「格差是正の政策を誤っていないか」の最適な要約について考えてみる

日経新聞社説の要約

「格差是正の政策を誤っていないか」最短文要約(元記事1766文字→92文字)

グローバル化とデジタル化により経済格差が生まれ、世界中で不満が爆発しているが、昨今の偏ったポピュリズム(大衆迎合)政策でなく、経済成長と庶民の生活レベルを底上げする両方の視点が必要だ。

 

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単にキーワードを抽出して一文にまとめてみた。

今日の社説であれば、言いたい事はこれくらいだと思っているのだが、なんとなく主張は伝わるだろうか。

ぶっちゃけると全体の文章を読んでも、今の政治がポピュリズムになびきすぎってのはありきたりだし、提言がバランスのとれた政策と言われても、そりゃそうですよね。それをどうやって実行するかが難しくて皆悩んでるんでしょって感じだ。

起承転結を意識して再構成し、もう少しだけ肉付けしてみる。

 

4行まとめ(元記事1766文字→131文字)

(起)経済格差が拡大し、格差の不満は世界中のいたるところで噴出している
(承)経済格差の原因は、グローバル化とデジタル化だ
(転)政治の「格差への対応策」が安易なポピュリズムになびき過ぎではないか
(結)格差是正には経済全体のパイ拡大と共に庶民の生活を底上げする様なバランスのとれた政策が重要だ。

 

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承の経済格差の原因に対する説明が弱く納得感がない。また、転→結の繋がりが見えづらい。

主張の裏付けにはファクトが必要だ。

もう少し引用ベースでしっかり肉付けしてみよう。

 

引用ベースで丁寧に要約(元記事1766文字→835文字)

経済格差が拡大している

スイスの金融大手クレディ・スイスによると世界の上位1%の高所得層が抱える資産は全体の45%を占めるのに対し、下位50%の低中所得層は1%に満たないという。それほどまでに経済格差は拡がり二極化している。

 

経済格差の原因は、グローバル化とデジタル化

格差が拡がった理由はグローバル化やデジタル化が経済的な成功条件を塗り替えたからだ。新たな環境に適用できる者と適応できない者の二極化を促した。

 

格差の不満は世界中のいたるところで噴出している

英国のEU離脱の決断、地下鉄運賃の引き上げに端を発したチリの講義デモ、年金改革に反対するフランスの大規模ストライキ、これら全て格差への不満が引き金の一つになっている。

 

政治の「格差への対応策」が安易なポピュリズムになびき過ぎではないか

共和党のトランプ大統領は、不公正な貿易や大量の移民流入こそが庶民の生活を圧迫していると訴え、排外的な右派のポピュリズムに覆われつつある。民主党の大統領候補は、富裕層や大企業に大幅な増税を求め、庶民のための国民皆保険や公立大学無償化を公言し、強者を敵視、弱者にばらまく左派のポピュリズムに侵食され始めた。米国だけでなく、欧州は右派、中南米では左派のポピュリズムがはびこっているが、これが根本的な問題の解決になるとは思えない。例えば、トランプ氏の保護貿易や移民制限は人、物、金を呼び込む米国の磁力を弱め、中長期的な成長の基盤を損なっている。民主党が訴える国民皆保険なども巨額の財源を要する非現実的な公約であり、これを富裕層や大企業の大増税で賄えば、経済全体を失速させる恐れがある。

 

格差是正には経済全体のパイ拡大と共に庶民の生活を底上げする様なバランスのとれた政策が重要

グローバル化やデジタル化の恩恵を存分に引き出し、経済全体のパイを拡大するとともに、適切な所得配分や安全網の拡充、労働・教育制度の改革などを通じて庶民の生活も底上げする。バランスのとれた政策が重要だと著者は訴えている。

 

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これだと長過ぎで読む気にならない人が続出しそうなんだけど、問題提起パートで何が問題かという部分は丁寧に説明して理解して貰えないと、それこそ記事の価値がなくなってしまう恐れがある為、厚めにしてみた。ただし、結論にありがたみがないが、本文に書いてないことは流石に要約も出来ない。

 

要約のポイントは自分の言葉で語ること、という解説が沢山見つかったが、この場合は引用ベースで著者の主張をフォローして行った方がきちんと意図が伝わる気もする。

 

一つ言える事は、単に要約だけして要約者の意見や考えが何一つない文章は、あまり面白い読み物にはなりえないということだ。

なぜなら要約という行為の目的は、他者に効率的に情報を取得してもらうことに加え、要約者の解釈を与えることで議論を前に進めることにあるからだ。