リアルタイムドキュメンタリー

【システム屋の仕事術 #1】テンプレを制する者は仕事を制する

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最初は世間に誇れるこれといった実績を残していない僕が仕事術を語るなんておこがましいとも思った。一方でこうも思った。著名人がその実績に基づいたノウハウを語った場合、受け手は盲目的にそのやり方を受け入れてしまうことがある。

盲目的にその手法を信じずに、自分の頭で考えて僕が発信する手法がイケてるかどうかを判断し、良いものを取り入れてもらえばよい。そう思い立ちこれまで先輩から学んできた事を含め、自分の仕事術を不定期で公開してくことに決めた。

記念すべき第一回は仕事のテンプレ化について。

 

プアなイノベーションより、優れたイミテーション

システム屋にとって低付加価値かつ繰り返しが必要なタスクを効率化・自動化すること、仕事を誰がやっても再現可能な状態にすること、すなわち仕事のテンプレ化は最も重要な概念の一つだ。

プロである以上、限られた時間内にいかに効率的に仕事を進めるかを考えて実行する必要がある。

えらく時間をかけて作成した成果物が、実は誰かが既に同じものをまとめてました。特に若手時代はよくある事だが、まるで付加価値を生み出せていない仕事の典型例だ。

先人の知恵とノウハウをうまく利用しつつ、最速のスピードで吸収する努力をするのがプロの仕事だ。また、それらのノウハウを、これからの人のために分かりやすく残す努力をすることもプロとしての務めだ。

一般的には既に整理されている事を新しい発見かのように時間をかけて再度アウトプットする事を車輪の再発明と呼んだりするが

「プアなイノベーションより、優れたイミテーション」

佐々木常夫・東レ経営研究所元社長のこの名言の方が僕にはグッとくる。

テンプレ化の2つのステップ

テンプレ化には2つのステップがある。

自分の仕事のテンプレ化

一つ目は、自分が日常的に実施し脳を全く利用していない単純作業となったタスクをいかにテンプレ化するかを考える。

例えばメール一つとってしても、よく使うフレーズを単語登録しておき、少しでもタイプ数を減らす。資料作成の際も一から自分で作る事は控え、グラフ、システム構成図、スケジュール表、体制図など良く使うものでイケてる資料をテンプレ化しておき、そこから資料を作るようにする。

粒度の大小はあれ、仕事のあらゆる場所にテンプレ化できる余地がある。自分が毎日何のタスクに時間をかけているのかを記録し可視化する事でテンプレ化の余地を探っていく。毎日がこの繰り返しだ。

また、システム以外の人間も、ちょっとしたスクリプトを書けるようになっておくと便利だ。

交通費や業務時間登録など日常的に利用している社内システムへの登録作業をスクリプトを書いて自動化するのでもよいし、自分が注目しているキーワードが含まれる記事だけを各メディアから収集してきて毎朝読み上げてくれるようにしてもよい。

普段めんどくせぇなぁと感じている業務をどうすれば自動化出来るか考える。このスクリプト思考は時に生産性を爆上げする。

人に依頼する仕事のテンプレ化

仕事のスケール化を図るには、自分だけしか出来ない状態を脱却し、誰もがその仕事が出来るよう手順へ落とし込み、汎化する必要がある。このプロセスなしには仕事はスケールしていかない。フランチャイズの仕組みがまさにその典型例だ。

手順化の際には、誰もが理解してくれるよう、何をどこまで記述するかが腕の見せ所だ。

僕らの場合は、ミスなく作業する為にシステムの機能追加や切替作業用のスケジュール表や手順書を作成し、それに基づき実行する。

こういった手順を組織全体でブラッシュアップして育んでいける仕組みが確立されているか、文化が醸成されているか。その結果が組織の品質や生産性の差となって現れる。

 

テンプレ化思考は全業種で効く

こうしてまとめてみれば、テンプレ化思考は何もシステム屋だけに限った話ではない。全ての業種や仕事に有効で普遍的な仕事の進め方だ。

モジュールや標準機能、API、マイクロサービス、呼び方は何でもよいが、組織の壁を超えて誰かがテンプレ化した機能やサービスを組み合わせ、これまで存在していなかった、世の中を便利に面白くするモノを創造していく。

システム(ソフトウェア)産業には人類の叡智をアップデートする為の、この基本思想が根づき当たり前のように日々実行されている。

「そんな事いつもやってるよ!」は大いに結構。もしあなたがこの記事を読み、何かを感じてくれたのだとしたら、今日から自分の仕事でテンプレ化を意識してみて欲しい。

明日やろうはバカヤロウだから。

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